「糖化」を防げば一生「老化」しない!!
老化というと、あなたはどういう姿を思い浮かべますか?
「シワシワでたるんだ顔」
「白髪だらけで艶のない髪」
「シミやくすみだらけの肌」
「垂れ下がったカラダのライン」・・・・・・
一般的に、「老けたな」と感じるのは、上記のような姿を目にした時ではないでしょうか?
「年をとったのだから、身体が衰えるのは当たり前」と考えて諦めてしまう人も多いと思いますが・・・実は、これらの老化現象は、年齢に応じて誰にでも自動的に発生するものではないのです。
老化を引き起こす原因は、「酸化」「糖化」「炎症」だと言われています。
身体中の老化や害をもたらす根本原因がこの3つになるのですが、その中でも最近になり、毎日の食事から摂取される物質が、身体の中でさまざまな化学変化を引き起こした結果として老化が現れてくることがわかってきました。AGEs(終末糖化産物)という物質に注目が集まるようになってきたのです。
このページでは、老化の原因の中で1番怖い「糖化」老化を引き起こすAGEsという物質についてご説明していきたいと思います。
最近よく耳にする「糖化=コゲ」って何?
「糖化」という言葉は、日本では最近とても注目されるようになりました。けれど、この言葉は最近生まれたものではなく、アメリカでは1960年代から盛んに研究がされていました。
糖とたんぱく質に熱が加わることで結びつき、見た目が褐色に変化することを「糖化」と言います。そしてAGEs(終末糖化産物)とは、人間の体を構成するたんぱく質と糖が結合した老化物質です。AGEs(終末糖化産物)が体に溜まってくると元に戻らず、身体に様々な悪影響を及ぼします。
アメリカで行われていた研究では、腎臓や目などの合併症が起こる部分に、「糖化」によって生成される物質AGEsが溜まりやすいことがわかっていました。
そして血液や尿には溜まらないとされていたのですが、最近の研究では血液や尿にも蓄積されることがわかっております。なんと、糖尿病の患者さんの血液には、正常な人の8倍ものAGEsが蓄積していると言われています。
さらに、腎臓や目、心臓はもちろん、血管や皮膚、骨にもAGEsが多量に蓄積されていることもわかりました。
そんなことから「糖化」こそが糖尿病の合併症の原因だと判明したのです。
ホットケーキの表面のキツネ色。これが「糖化」です
小麦粉(糖質)と卵・牛乳(たんぱく質)を混ぜて焼くホットケーキ(パンケーキ)ですが、表面がこんがりきつね色になりますよね。
この焼けた部分が「糖化」し、AGEs(終末糖化産物)ができている状態です。
人体の細胞を構成する主成分であるたんぱく質の表面に、ベタベタと糖がうっつくことででき、元に戻ることがない最終的な生産物がAGEsと呼ばれるものなのです。
たんぱく質に糖がくっついてしまうと、元のたんぱく質が持っていた働きがどんどん失われていきます。
早い段階であれば、元の正常な状態に戻ることもあるのですが、時間が経って最終的にAGEsに変化してしまうと、身体に悪さをする物質として、周りの細胞をどんどんAGEs化させながら、身体の中に長時間いすわるようになります。
AGEsの量がどのように決まるかというと、血糖値が大きく関わっています。
血糖値が高い状態ということは、血液中にブドウ糖がたくさんあるということです。AGEsの材料となる糖が多いほど、たんぱく質と結びつきやすくなります。さらに血糖値の高い状態が長時間続くと、その間AGEsはずっと作られ続けることになるのです。
高血糖状態がすぐに終わるのと、間食などによって一日中続くのとでは、体内で作られるAGEsの量は大きく異なります。この状況に気づかなければ、いつしか取り返しがつかないほど多くのAGEsが溜め込まれてしまうのです。
体内のAGEsの量は、食べ物から摂取するものが3分の1、体内で糖とたんぱく質が結びついて作られるものが3分の2と言われています。
糖尿病の患者さんであれば、体内生成の割合がさらに高くなります。体内でできるAGEsにはいろいろな構造を持ち、数十種類とも数百種類とも言われています。ただ、たとえどんな構造のAGEsであったとしても、すべて人体に悪影響与えることには変わりはないのです。
糖化はこのようにして起こる!!
「糖化」が起こるシステムをもう少し専門的に説明したいと思います。
血管の壁を形成しているは、たんぱく質とコラーゲンです。
コラーゲンに過剰な糖(血糖)が付着し、その糖の中には少し変性するものがあります。
これを「アマドリ化合物」といいます。このアマドリ化合物に、さらに余分な糖が結合したものがAGEsです。
イラストの中心にAGEsがありますが、このAGEsは2本のコラーゲンをくっつけてしまい(これを架橋形成といいます)コラーゲンから弾力性を奪ってしまいます。
もともと血管の壁において、クッションの役目を果たしていたコラーゲンから弾力性が失われると、血管は切れやすくなり、硬化や詰まりが起こりやすくなります。
特に細い血管では、その影響は顕著であり、小さい血管が張り巡らされている目や腎臓、神経系に合併症が起こりやすいのはこのためなのです。
私達の体にはAGEsを取り除くしくみがあります。それを行っているの免疫細胞のマクロファージ細胞です。AGEsの存在をキャッチして食べてくれるのです。ところが普段は血中にいるマクロファージは血管に入り込むことがあり、AGEsと一緒に架橋形成されたコラーゲンを食べてしまうことがあるのです。
その際、新たなコラーゲンを作り出す働きのあるサイトカイン(活性酸素を増強させる糖化と酸化の関係性が深いと言われるのはこのためです)という物質を吐き出すのですが、これによって過剰なコラーゲンがつくられます。
糖尿病腎症の悪化は、この過剰なコラーゲンが尿の成分を漉すフィルターの役割をする基底膜を破壊することで起こります。膜が破壊されるため、たんぱく質が尿に混じるのです。
さらに糖尿病の合併症だけでなく、その他の病気にもAGEsが関わっていることがわかっています。
アルツハイマー病もその1つです。実はアルツハイマー病の特徴として、脳内に老人斑という不思議なシミができることがあるのですが、そのシミにはAGEsがたくさん蓄積されています。もちろん、AGEsにより脳のたんぱく質が劣化すれば、脳細胞は死滅します。
パーキンソン病も「糖化」が関わっています。パーキンソン病は、身体中の筋肉が硬直して行く病気ですが、その特徴は、脳内にレビー小体ができることです。このレビー小体にもAGEsがたくさん蓄積されているのです。