糖質の基本について学ぼう

いまだに浸透している肥満にはカロリー制限が大切という考え方

「人はなぜ太るのか?」この質問をされたとき、ほとんどの人が「摂取カロリーが消費カロリーよりも多いから」と答えるのではないでしょうか?

そもそも「太る」というのは脂肪がつくということですから、太る原因は脂肪分が原因と考える人が多く、またダイエットについて勉強をしたことがある人は、「カロリーが高いものを食べることが太る原因」と答えると思います。

けれど・・・実は、これは数十年前に医学先進国アメリカが出した間違った結論により、常識として根付いてしまった古い考え方になるのです。

肥満による心筋梗塞が多かったアメリカでは、肥満をなくす方法について、古くから研究が進められていました。1970年代には「肥満の原因は脂肪なのか?糖質なのか?」という議論になり、「脂肪が悪いのだからカロリー制限が必要だ」という結論になりました。これは、今では誤った考えてあることは常識なのですが、当時はこの考えが、日本をはじめ、世界に広まってしまったのです。

その結果、どうなったのかといえば、糖質の影響は無視され、炭水化物をたくさん食べた人たちの肥満が増えてしまいました。

そのため、アメリカの糖尿病学会は間違いを訂正し、現在は「糖質こそが肥満と塔脳病の原因である」という立場をとっています。
ところが、日本は間違いを訂正せず、日本糖尿病学会ですら「カロリー制限こそダイエットにも血糖値のコントロールにも有効である」と公言しています。さらに老化の原因が糖化にあることさえ、日本ではここ数年前までほとんど一般人には知らされていなかったのですから驚きです。

カロリー制限 VS 糖質制限 やせるのはどっち?

「太る」というのは体内の脂肪が増えるということであるため、今までは脂ものなどカロリーの高い食事が太る最大の原因として挙げられてきました。そこで考えだされたのが、肥満気味の人に対して行う「カロリー制限」という指導でした。

しかし、これは前述したとおり誤りであり、今では「人が太るただ一つの原因は糖質にある」とされています。

では、糖質が太る原因だと断言できる理由についてみていきましょう!

私たちはブドウ糖と酸素を反応させてエネルギーを作り出して生きています。なので糖質は生きるために必須の栄養素です。ところが糖質を必要以上に取ると、エネルギーとして使われなかったブドウ糖が余ってしまいます。

血中にブドウ糖が余ってくると、膵臓から出てくるインスリンというホルモンの働きで、ブドウ糖はグリコーゲンに替えられ、筋肉や肝臓に貯蔵されていきます。ところが、貯蔵できないほど余ってしまうと、脂肪として体内に溜め込んでしまうのです。つまり、糖質を摂りすぎてブドウ糖が余るから太るわけなのです。

さらに怖いのは、この余った糖と、人間の身体の成分であるタンパク質、そして体温が結びついて焦げができてしまうと体の中で糖化という現象が起きます。この糖化は、体の様々な場所で問題を引き起こし病気を発症させていくのです。(糖化については別のコーナーで詳しく解説します)

そんなことから、逆に糖質を制限するとエネルギー源であるブドウ糖が不足し、貯蔵されていたグリコーゲンをブドウ糖に戻したり、脂肪を燃やしたりしてエネルギーとして使います。脂肪が燃やされるのですから、当然痩せていくわけです。これが糖質制限の基本になります。

小太りの方が長生きするって本当?

健康診断で行われる「メタボリックシンドローム判定」通称「メタボ判定」で使われる項目のひとつに、肥満度を表す体格指数「BMI(Body Mass Index)があります。

具体的には、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割ることで計算され、これが25を超えると健康指導の対象になることあるのです。

このBMIですが、これまではもっとも病気になりにくい理想値は22というのが一般的でした。しかし、アメリカ疾病対策予防センターのレポートによれば、BMIが25以上30未満の「肥満(1度)」の人が一番長生きするという結果になったのです。しかも、18.5以上25未満の「標準体重」の人よりも脂肪リスクが6パーセントも低いというのです。

そのため、現在のアメリカでは、BMI30以上を肥満としています。ただし、これはアメリカ人の体格や肥満が非常に多いという事情を考慮しなければなりません。日本人でBMI30というのは相当な肥満体ですから、これをそのまま日本人に当てはめるには無理があります。

そこで、理想とされてきた22よりも少し基準を弛めて、44歳以下であれば成人病リスクを考えて男女とも18.5以上25未満の「標準体重」をキープ。45歳以上は男性は30、女性25以下をひとつの目安として考えてください。

人類はもともと肉食の生き物だった!

人間をはじめておして、あらゆる動物は空腹感や満腹感の感じ方、消化、吸収、代謝のしくみなど、生きるためのプログラムがDNAに組み込まれています。

人間の食生活を考えてみると、誕生から長い期間、食物の採集と動物の狩猟、魚や貝類の採取などによって食べ物を得てきました。それは、日本人も変わらず、私たちのる0つのひとつである縄文人は、狩猟採集生活を1万2000年という長きにわたってつづけていたのです。今よりもずっと厳しい環境のなか、私たちの縄文時代の先祖は暮らしていたわけですから、狩猟採集で得られる食べ物からは、必要な栄養分は確保できていたと考えられます。

ところが、弥生時代になると「農業」によって、米や麦などをつくり、安定的かつ恒常的に食料を確保することに成功します。しかし、こうした農作物が中心の食生活は、もともと組み込まれたDNAにはそぐわないものと言えます。

このことから考えると、本来、人間の身体は脂質やタンパク質を摂って生きるようにできていたにも関わらず、食生活を変えてしまったために、とくにここ100年くらいで肥満や生活習慣病が多発するようになったといえるのです。

食生活の変化と糖質による現代病の恐怖

世界的に問題となっている糖尿病ですが、日本の糖尿病患者数は、かつては100人にひとり程度でした。ところが平成27年の厚生労働省の調査によると、糖尿病が強く疑われる人の割合は、男性の19.5%、女性の9.2%まで増加しています。

このように、日本で糖尿病の患者が増え始めたのは、戦後20年を過ぎたくらいからであり、その理由は、高度経済成長により生活が豊かになり、主食のお米や麺類はもちろん、砂糖入りのお菓子屋ジュースまでも、誰もが自由に口にできるようになったからです。

それ以前の時代は、糖尿病患者はほとんどいませんでした。今から約1000年前の平安時代に生きた藤原道長が最も古い糖尿病患者だと言われています。晩年の道長の様子を記録した藤原実資の「小右記」には、急激にに痩せてょそって水を飲むようになり、視力が年々衰えて目の前の人物の顔の判別もできなくなったと記されています。

これは、道長が当時は貴重だった糖質を日ごろから食べられる特権階級だったからで、一般の人々には糖尿病などいませんでした。つまり、私たちはDNAに刻まれてきた食生活を勝手に変えてしまったことで、現代人は様々な生活習慣病に苦しむことになってしまったのです。

長生きの秘訣は毎日満腹にならないと!

食事は腹八分目に! ということは、昔から良く言われました。腹八分目どころか、腹七分目に抑える方が実は長生きできるのです。これは、アメリカのアカガエルを使った長寿に関する実験で明らかになった事実です。

この実験では、通常量の餌を与え満腹状態にしたアカゲザルと餌のカロリーを30%減らすことで飢餓状態にしたアカゲザルとで比較しています。後者のアカゲザルは、カロリーが通常の70%までカットされているわけですから、三大栄養素のタンパク質、糖質、脂質も当然不足することになります。

ここでポイントになるのが糖質です。糖質は生命維持に欠かせないエネルギー源となっていますので、できる限り効率よく、節約して使おうとするのが動物の基本システムです。

それが70%しか体内に入ってこないので、そのシステムが限界まで稼働し、動物が本来もっている生命力や長寿遺伝子が活性化されることで、長生きしたのではないかと考えられているのです。

つまり、いつも満腹でいるとかえって長生きしにくいのです。長寿遺伝子を活性化させるためにも、食事の管理は大切だということになります。

ベストセラーとなった、この著書でも長生きの秘訣の1つとして満腹にならないことが記されています。

炭水化物を食べなくても大丈夫な理由

「炭水化物を食べなくても大丈夫なんてそんなのフェイクでしょ」と言われるかもしれません。

糖質は体内でブドウ糖となり、身体を動かすエネルギー源になります。ということは・・・糖質を制限してしまったらエネルギー不足になって、身体に悪い影響が出てしまうでしょ!

といった意見が出るのは当然のことなのですが、エネルギーは体内で作られるため、炭水化物を食べなくても大丈夫というのは本当のことなんです。

人間は飢えた状態でも生き延びられるように、体内でエネルギーを作り出す機能が備わっています。なので、糖質を摂らなくても代わりの方法でエネルギーを得られるのです。

何らかの理由で糖質が不足すると、血中を流れるブドウ糖が不足します。肝臓や筋肉の細胞に取り込まれていたグリコーゲンを分解してブドウ糖に戻して血中に放出しエネルギー源とするのです。そして、このグリコーゲンも尽きてしまうと、今度は脂肪細胞に取り込まれた中性脂肪がエネルギーとして使われ、一部はブドウ糖になって血中に戻されます。

この仕組みにより、糖質を摂らなくても体内でエネルギーを作り出せるのです。そのたため、なんらかの理由でまったく食事がとれなくても、水さえ飲むことができれば、ある程度までは生き延びることができます。脂肪細胞の中性脂肪がエネルギーに変われば痩せていきます。これが糖質を制限することで痩せるメカニズムなのです。

眠気の原因は低血糖かもしれない

昼食を食べた後、午後の大事な会議や学校の授業等で眠くなってしまったという経験をした人は多いと思います。これは、昼食に糖質をたっぷり摂って上昇した血糖値が、その反動で急激に下がって低血糖状態になってしまったことが原因かもしれません。

食事をすると血中のブドウ糖が増えて血糖値が上がりますが、それを下げるために膵臓からインスリンという物質が分泌されます。これが血中のブドウ糖を減らすことで、脳へ回っていたブドウ糖が急激に減り、一時的に眠くなってしまうのです。

しかし睡眠を取っているのに、いつも食事後に眠くななってしまう場合は、糖質の摂りすぎが原因かもしれません。そういった方は、糖質を抑えたメニューを選び、しっかりとよく噛んでゆっくり食べるようにしてみてください。

観光ーヒーやジュースは痛めつける毒です

毎朝、出勤途中に缶コーヒーを飲むのが習慣になっている方はいませんか? よく見かける光景ですが、缶やペットボトルに入った「コーヒー飲料」は、大量の砂糖が入っており、害はあっても益はない飲み物です。

メーカーにもよりますが、微糖と銘打った商品でも各砂糖約2個、容量の多いペットボトルの場合はなんと角砂糖10個以上の糖が入っています。また、ビタミンや食物繊維が摂れることで女性を中心に人気のジュースは、果物を多く使っているため、その分糖質も多く含んでいます。「野菜だから体にいいはず」と考えがちですが、実際はたくさんの糖質を摂ることになるので、毎朝飲んでいると肥満や糖尿病の原因になってしまいます。

果物のジュースはさらに糖質が多く、健康に良さそうに思える生絞りジュースは、コップ1杯分を作るために多くの果物を使います。なので、さらに注意が必要です。また、一時期ダイエットに効果があると話題になったスムージーも、たっぷりのフルーツなどを加えて飲みやすくしている場合が多く、糖質を摂りすぎてしまうため、ダイエットをしている方には注意を要する飲み物になります。

糖質には麻薬と同じような依存性がある

人間は、狩猟採集時代に常に飢えていた記憶から「生きるためにチャンスがあれば糖質をたくさん摂る」ということが遺伝子レベルでプログラミングされています。そして、糖質を摂ると、そのご褒美として幸せを感じるようにできているのです。

具体的には糖質を摂って血糖値が上昇するとドーパミンぐやセロトニンが放出され、脳が快楽を得てハイな気分になります。この快楽を得るところを「至福点」と呼んでいます。

この脳の快楽が大変危険であり、体が糖質を必要としていない状態でも快楽を得るために糖質を摂ってしまうようになっていくのです。これを「糖質中毒」といい、食べ過ぎや肥満の大きな原因となっています。

この糖質中毒が怖いのは、意思の問題ではなくなってしまうところです。脳が快楽を得るために「糖質を摂れ」と指令を出してしまうのですから止めようがありません。とくに急激に血糖値が上昇するものは要注意です。急激に上昇したインスリンを下げるため、大量のインスリンが放出され、血糖値が急激に下がって眠気やイライラなどの不快な症状に襲われます。すると、血糖値を下げるために糖質が欲しくなり、・・・とまさに中毒の状態になってしまいます。

つまり糖質は、覚せい剤などの麻薬と同じように依存性がある物質と言えるのです。

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